心筋炎の特徴・症状と治療法について【医師監修】

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/03/08
このページでは、心筋炎の症状や治療法、今すぐ医師に相談したい場合の方法についてお伝えしています。

心筋炎について

心筋炎の特徴・要因・症状

心筋炎の特徴

心臓は、心筋という筋肉によって作られており、血液を全身に循環するために絶えず膨張と収縮をしています。

心筋炎というのは、炎症がこの心筋に起きる病気です。

心臓の血液を循環する機能が炎症によって下がったり、危ない不整脈が起きたりすることで、命が危なくなる場合もある恐ろしいものです。

心筋炎の要因

心筋炎の要因のほとんどは感染性で、ウイルスによるものがほとんどです。

胃腸炎やかぜの要因になるウイルスと同じもので起きます。

感染性の要因としては、これ以外に細菌、真菌、リケッチア、寄生虫などがまれにあります。

さらに、薬剤の副作用、自己免疫疾患、放射線治療の影響の要因などがありますが、要因が分からない場合もあります。

心筋炎の症状

心筋炎は、自然に治って症状が全くない場合もありますが、感冒様症状の発熱や寒気、頭痛、筋肉痛、咽頭痛、全身倦怠感などが現れます。

消火器症状の下痢や食欲不振などが現れる場合があります。

胸痛、動悸、呼吸困難、失神などが、このような症状の数日後に起きます。

感冒として咳や熱、喉の痛みは治療する場合もありますが、これに胸部症状の動悸や胸痛などがあると心筋炎の疑いがあるため検査が追加されます。

かぜの症状の場合でも、痛みを胸に感じたり、動悸、めまい、息切れなどがあると、病院で診てもらいましょう。

心筋炎の急性の場合でも、心電図異常と感冒様症状だけで治る軽いものから、心筋の動きが下がって心不全が起きたり、不整脈が起きたりすることもあります。

新機能が1ヶ月~3ヶ月で回復することがある一方、心機能が急速に下がって極度に血圧が下がって、命が危なくなる重症心不全などが起きる場合もあります。

心筋炎の中において、症状が急激に悪くなって、死亡する場合が多いものを「劇症型心筋炎」と言います。

短い時間で症状が急激に悪くなってくるので、集中治療を行う必要があります。

心機能が心筋の広い範囲に炎症が起きた後に下がったままで拡張型心筋症様になって、心不全をこの後も繰り返すこともあります。

心筋炎の診断と検査

心不全の胸痛、呼吸困難、息切れの症状や不整脈によるめまい、動悸の症状があると、診断が心電図検査によって行われます。

心筋炎の場合は、心電図変化がほとんどの症例で現れます。

心筋炎の疑いがあれば、血液検査によって心筋逸脱酵素の上昇という心筋のダメージを示すものがないか、

心臓の超音波検査によって心筋の動きなどを検査します。

虚血性心疾患を否定するために、冠動脈造影を行うこともあります。

小さい目でやっと見えるような心筋を採取して顕微鏡で調査する心筋生検によって、診断を確定します。

最近は、補助診断として、心筋の状態を心臓MRI検査によって確認することが有用であると言われています。

心筋炎の治療法

心筋炎の場合は、治療しないケースも多くあります。

ここでは、治療する必要があるケースと治療する方法についてご紹介しましょう。

心筋炎の場合は、ウィルス性のものが多くありますが、原因ウィルスを特定することは難しいとされています。

また、抗ウィルス薬として一般的に使えるものはまだ発売されていないため、治療しないで経過を観察するだけのことが多くあります。

しかし、もともと心筋炎の発症に持ち合わせていたアレルギー性の病気や自己免疫が、心筋炎の発症に関係していることが多くあります。

このような場合は、心筋炎の治療として基礎疾患の薬剤を使うものが有効であるとされています。

心筋炎は、炎症が心臓に起きる病気であるため、薬剤を投与して炎症を抑えます。

原因ウィルスなどが分からない場合でも、炎症だけ抑えておくと急性期の症状が治まるとされています。

血液の流れの状態の改善が炎症によって妨害されている場合は、短期のステロイド大量療法が行われる場合もあります。

症状が顕著に改善したケースもありますが、ステロイドの適用自体に関しては多くの議論もあります。

特に、劇症型心筋炎の場合は、正常に血液が全身に循環できなくなることが多いので、命に関係してきます。

この場合は、治療を人口心肺装置を使って行います。

基本的に、血行動態を自然に軽くなるまで維持するようになります。

カテコラミン薬や利尿薬などを使った、血行動態を薬剤によって維持する治療が行われる場合もあります。

心筋炎の予防

心筋炎を予防するためには、うがいと手洗いを十分に行って、基本的に、かぜウイルスに感染しないことが大切です。

予防接種を受けて、シーズン性のインフルエンザなどの感染症は予防しましょう。

予防はできる限り行う方がいいため、予防接種は必ず受けるのがおすすめです。

子供がもしかぜをひいた場合は、軽くみないで十分に様子をみましょう。

時間が経つにつれて症状が重くなったり、息切れや痛み、むくみが現れたりするような場合は、すぐに医師に診てもらう必要があります。

早く見つけることが非常に大切です。

記事監修
  • 名倉 義人
    救急科専門医

    ・平成21年 名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事 ・平成23年 東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得 ・平成27年 東戸塚記念病院で整形外科として勤務 ・令和元年 新宿ホームクリニック開院

    日本救急医学会、日本整形外科学会

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