加齢黄斑変性の特徴・症状と治療法について【医師監修】

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/02/05
このページでは、加齢黄斑変性の症状や治療法、今すぐ医師に相談したい場合の方法についてお伝えしています。

加齢黄斑変性について

加齢黄斑変性の特徴・症状

加齢黄斑変性の特徴

加齢黄斑変性というのは、年を取るにつれて、黄斑という網膜の中心部にあるものに障害が起きる目の病気です。

黄斑がある網膜は、例えば、カメラで言うとフィルムのようなものであり、電気信号に目から入る光を変えて脳に伝達します。

そのため、ものを人は見ることができます。

特に、多くの神経が黄斑には集中しています。

そのため、年を取るにつれて黄斑の細胞が障害を受けたり、血液の成分が黄斑部の異常な血管から漏れたりするようなことが生じると障害が視野に現れます。

加齢黄斑変性のほとんどの場合は、滲出型加齢黄斑変性という年を取って異常な血管が発生することによって血管が破れるものです。

加齢黄斑変性は、誰でも年を取ると発症することがありますが、太陽光や喫煙なども発症するリスクが高くなる要因になると言われています。

加齢黄斑変性の症状

加齢黄斑変性の症状の特徴的なものとしては、歪んで視界の中心部のみが見える、暗く視界の中心部が見える、ことが挙げられます。

歪んでものが見えたり、暗く視界の中心部が見えたりするので、ものや人の見極めが難しくなる、文字が見えにくい、段差でつまずくというような症状が現れます。

症状のタイプとしては、急に症状が現れて急に進んでいくものや、だんだんと見えにくくなるものがあります。

症状が進んでくれば、視力が下がったり、異常が色覚に生じたりします。

治療を行わないと約9割の患者が0.1以下の視力になって、生活することが難しくなります。

加齢黄斑変性の診断と検査

加齢黄斑変性を診断する際には、視力検査、眼底検査、蛍光眼底造影、光干渉断層計の検査を行います。

  • 視力検査

視力検査は、決められた距離から、片目ずつ視力検査表がどの大きさまで確認できるかを調査します。

  • 眼底検査

眼底検査は、光を目の奥に当てて、直接網膜を検査します。

網膜の血管、滲出や出血の状況が確認できます。

  • 蛍光眼底造影

蛍光眼底造影は、腕の静脈から蛍光色素が含まれている造影剤を注射して、眼底の血管を眼底カメラで確認します。

血管の位置や形、血液の中に血管からどの程度の水分が漏れているかなどが分かります。

なお、造影剤を検査する際に注射するので、副作用として嘔吐や吐き気、アレルギー反応などがまれに起きる場合があります。

検査している際に異常を何か感じた場合は、医師に速やかに伝えましょう。

  • 光干渉断層計

層構造に網膜はなっていますが、光干渉断層計は断面的にこの層構造を確認する検査です。

新生血管や滲出の状況が分かります。

加齢黄斑変性の治療法

加齢黄斑変性としては、滲出型と萎縮型があります。

しかし、現在、萎縮型については、治療する有効な方法がまだありません。

そのため、ここでは、加齢黄斑変性の滲出型を治療する方法についてご紹介しましょう。

加齢黄斑変性を治療する方法としては、抗血管新生療法と光線力学的療法があります。

従来は、レーザー治療という新生血管を出力が高いレーザーを照射して焼灼するものや、外科的に新生血管を抜き去る手術も実施されていましたが、現在は、網膜が剝離したり、視力が下がったりするリスクがあるのでほとんど実施されていません。

  • 抗血管新生療法

近年、加齢黄斑変性を治療する方法は一般的に抗血管新生療法です。

抗血管新生療法は、新生血管が増えることを間接的に新生血管にアプローチすることによって抑えるものです。

従来の加齢黄斑変性の治療法と抗血管新生療法が大きく違っていることは、早く見つけると一旦視力が下がっても元に戻ることです。

早く見つけて治療を始めると、視力が元に戻る可能性が大きくなります。

  • 光線力学的療法

レーザーを使った光線力学的療法は、薬剤としてレーザーに反応するものを使って、出力が低くても新生血管に効果的にアプローチできるものです。

障害が網膜に残らないくらいの出力が低いレーザーを使うので、視力が下がるリスクがあまりありません。

加齢黄斑変性の予防

加齢黄斑変性は、見つかった際には相当進んでいる場合が多くあります。

加齢黄斑変性を予防するには、加齢、遺伝、喫煙のリスク要因がある場合は、異常が目になくても眼科を一度は受診しましょう。

眼底検査を実施すると、老廃物が網膜に溜まったり、色素異常が網膜細胞で生じたりしているのが見つかる場合があります。

このようなことは、加齢黄斑変性の1つの前ぶれであるため、検査を定期的に受けると予防することができます。

加齢黄斑変性の要因としては、加齢もありますが、喫煙も挙げられます。

そのため、老廃物が網膜に溜まったりしている場合は、禁煙を早めに心がけましょう。

また、加齢黄斑変性の要因としては、太陽光の中の長い波長の青色光も挙げられます。

太陽光を運動や仕事などによって多く浴びる場合は、青色光を遮断するために帽子や日傘、サングラスなどを使うことが非常に大切です。

記事監修
  • 名倉 義人
    救急科専門医

    ・平成21年 名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事 ・平成23年 東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得 ・平成27年 東戸塚記念病院で整形外科として勤務 ・令和元年 新宿ホームクリニック開院

    日本救急医学会、日本整形外科学会

FastDoctor
ドクターの往診・オンライン診療アプリ
往診もオンライン診療も
アプリから便利に相談
App Storeからダウンロード
Google Playで手に入れよう
TOP医療コラム加齢黄斑変性の特徴・症状と治療法について【医師監修】