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予防医療サービスは本当に医療費を削減するのか?

こんにちは、ファストドクターです。
本日は、興味深い論文をみつけたのでご紹介します。

近年、予防医療が注目を浴びていますが、これには2つの理由があります。
1つ目は患者さんの生命予後を改善すること。2つ目は医療費削減効果があること。
小児のインフルエンザb型ワクチンを例に挙げます。
小児科領域で非常に重篤といわれる細菌性髄膜炎、これの60%はインフルエンザ菌b型が原因と言われます。
髄膜炎患者の5%は死亡し、25%は重い後遺症を残すと言われます。
抗生剤が唯一の治療法ですが、近年は耐性菌の出現もあって治療に難渋することもしばしばです。

したがって病気を未然に防ぐことができるワクチンは、患者の生命予後を改善するのみならず、
髄膜炎になってしまったときにかかる高額な医療費を抑制する効果もあるため有用といわれます。

このように「生命予後改善」と「医療費削減」の2つの効果がある予防医療をcost savingといいます。
ほかに、生命予後は改善するが、医療費が増大するものはcost effective、
どちらでもないものはcost ineffectiveと定義されます。

今回ご紹介する研究結果によると、世にある予防医療の中でcost savingのものはわずかに20%しかないそうです。
予防医療を否定するわけではありませんが、何が本当に良いものなのかを見極めながら選択していきたいものですね。

参考論文
N Engl J Med 2008; 358:661-663
Health Aff November 2004 vol. 23 no. 6 63-75

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