中・下咽頭がんの特徴・症状と治療法について【医師監修】

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/02/05
このページでは、中・下咽頭がんの症状や治療法、今すぐ医師に相談したい場合の方法についてお伝えしています。

中・下咽頭がんについて

中・下咽頭がんの特徴・症状

中・下咽頭がんの特徴

がんが喉頭にできた場合は、喉頭がんと言います。

喉頭がんが進むと、喉頭の機能である発声、気道確保、誤嚥防止などを損ないます。

声門中というのは声帯がある箇所で、声門下はこれより下、声門上はこれより上を言います。

発生する箇所によって、喉頭がんは、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんに分類されています。

中咽頭がんが最も多く、上咽頭がんが次で、下咽頭がんは非常に稀です。

中・下咽頭がんの症状

初めに現れる症状は、がんが発生する箇所によって違います。

中咽頭がんの症状は、がらがらの低い声、ざらざらした雑音が入ったような声、息が漏れる感じの声などが、ほとんど全ての人に見られます。

1ヶ月以上このような症状が継続する場合は、喉頭がんが非常に疑われます。

がんが進んでくれば、さらにこのような症状がひどくなって、狭く声門がなって呼吸が難しくなる症状が見られます。

血液が痰に混じる場合もあります。

上咽頭がんの症状は、異物感、いがらっぽさ、食べ物を飲み込む際の痛みなどが見られます。

進んでくると、痛みが耳に広がる場合もあります。

初めに頸部のリンパ節の腫れが出る場合も多くあります。

下咽頭がんの症状は、相当進むまでありません。

中・下咽頭がんの診断と検査

鏡の前で口を開けると扁桃腺は見れます。

そのため、咽頭がんは自宅でも確認することができます。

しかし、一部の中咽頭のみが確認できるだけです。

詳しく全体の咽頭を観察するには、ファイバースコープを使う必要があります。

麻酔をした後にファイバースコープを鼻から入れますが、細いためそれほど痛みもありません。

しこりがあってがんが疑われるような場合は、一部のしこりを採って病理検査を行います。

超音波検査で首にがんが転移していないか確認したり、MRIでがんのサイズを調査したり、CTで肺などにがんが転移していないか調査したりします。

咽頭がんがある場合は、がんが食道にも起きやすいため、胃カメラで調査しておく方がいいでしょう。

中・下咽頭がんの治療法

  • 中咽頭がんの治療法

中咽頭がんは、舌の奥や扁桃腺、のどちんこなどにできます。

上咽頭がんと同じように、中咽頭がんは非常に放射線が効きやすいものです。

上咽頭がんと比較すると、抗がん剤は効き目が良くありません。

そのため、中咽頭がんの治療法としては、化学放射線療法と手術を行う方法があります。

最近は、化学放射線療法を選択する場合が傾向的に多くなってきています。

上咽頭がんの場合も、同じように化学放射線療法になります。

強度変調放射線治療を場合によっては行います。

がんのサイズによって、手術する方法は違います。

中咽頭がんは、多くの場合は口を開けた際に見える箇所にできるため、割合早く分かることもあります。

早く分かった場合は、手術によって口の中からがんを取ることもあります。

また、ファイバースコープが最近は進んでおり、がんが非常に早く見つかります。

小さなこのようながんの場合は、がんがある粘膜を切除してはがし取ります。

がんが進んでいる場合は、切除した箇所に別の体の箇所を移植します。

  • 下咽頭がんの治療法

下咽頭は、喉仏の骨の付近にあります。

がんが下咽頭にできた場合はなかなか分からないため、病院で診てもらうような時期にはがんが進んでいる場合が多くあります。

下咽頭と声帯がある喉頭は隣り合っているので、下咽頭がんが進むとがんが喉頭まで進みます。

下咽頭がんの場合は、ある程度抗がん剤も放射線も効果が期待できます。

そのため、下咽頭がんの治療法としては、一般的に、早ければ化学放射線療法、進んでいれば手術になります。

下咽頭がんを手術する際の方法は、がんがある下咽頭、下咽頭の隣にある喉頭、下咽頭の先の一部の食道を摘出するものが多く選ばれています。

切除した食道や咽頭は、腸や腕の皮膚などを移植します。

首に呼吸する久気管孔という穴を作ります。

ほとんどの場合は、一緒に首のリンパ節も切除します。

中・下咽頭がんの予防

喫煙が最大の喉頭がんの原因になります。

そのため、最大の中・下咽頭がんの予防法は喫煙しないことです。

また飲酒量は適正なものを守る、声帯を酷使しないようにする、というようなことなども、中・下咽頭がんの予防になります。

実際に喉頭がんになる人の100%近くが喫煙しているというようなデータがあることからも、明らかにこの因果関係はあります。

特に、喫煙している年数と1日あたりに喫煙する本数を掛けたブリンクマン指数が高いほど、中・下咽頭がんになるリスクがアップするため、禁煙するのはおすすめです。

喫煙して一定の年数が経っている場合は、禁煙治療を保険適用で受けることもできます。

禁煙治療の場合は、内服薬やパッチなどが処方されるため、禁煙したいという考えがある場合は、禁煙外来をぜひ受けてみましょう。

禁煙は絶対に遅すぎるような場合はありません。

記事監修
  • 名倉 義人
    救急科専門医

    ・平成21年 名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事 ・平成23年 東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得 ・平成27年 東戸塚記念病院で整形外科として勤務 ・令和元年 新宿ホームクリニック開院

    日本救急医学会、日本整形外科学会

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