食道がんの特徴・症状と治療法について【医師監修】

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/02/05
このページでは、食道がんの症状や治療法、今すぐ医師に相談したい場合の方法についてお伝えしています。

食道がんについて

食道がんの特徴・症状

食道がんの特徴

食道というのは、胃と喉を繋ぐ臓器の約25㎝の長さ、2cm~3㎝の太さ、約4㎜の厚さの管のようなもので、粘液が分泌される粘膜で内側が覆われて食べ物がよく通るようになっています。

この粘膜の上皮から、食道がんは発生します。

日本においては、扁平上皮癌がんが食道がんの9割以上を占めています。

しかし、欧米においては、腺がんが多くなっており、食道の下部の胃の付近にほとんどの場合は発生します。

日本においても、欧米化した生活習慣になっているため、腺がんが今後多くなることが考えられます。

食道がんになったり、死亡したりする割合は、40代後半から多くなるような傾向があります。

また、女性よりも食道がんは男性に多いものです。

食道がんが発生する原因としては、大量の飲酒や喫煙がはっきりしています。

特に、扁平上皮がんの場合は、飲酒と喫煙が相乗的に働いて高いリスクになるとも言われています。

また、飲食物の熱いものが高いリスクになるという研究データも多くあります。

腺がんの場合は、逆流性食道炎という胃から胃液や食べ物などが食道に逆流するものにプラスし、確実に肥満によって高いリスクになるとされています。

食道がんの症状

食道がんは、多くの場合は初期症状がなく、人間ドックや検診の際に見つかる場合が2割近くあります。

がんの進み程度によって症状は違いますが、熱い物を飲み込む際にしみる、胸の奥が食べ物を飲み込む際に痛む、食べ物が食道でつかえる、体重が減る、背中や胸が痛む、血が混じったたんやむせるようなせきが出る、かすれた声になる、などがあります。

健診を定期的に受けるだけでなく、症状が継続する場合は消化器科で早めに診てもらうことが大事です。

食道がんの診断と検査

食道がんは、昔は早く見つけることが困難であり、治すことが難しいと言われていました。

しかし、現在は検査するを際に内視鏡を使うことによって、早く見つけられる場合が多くなっており、完全に食道がんが治る人も多くなっています。

また、食道がんを見つけられる検査としては、内視鏡検査の他にも、ヨード染色法、超音波内視鏡検査、MRI検査・CT検査、食道造影X線検査など、いろいろあります。

食道がんの治療法

  • 手術

食道がんの最も一般的な治療法は手術です。

がん腫瘍などの食道を取り除くとともに、リンパ節などの周りの組織も取り除きます。

食道を取り除いた後は、再度食べ物が通る道を作る必要があります。

  • 抗がん剤治療

食道がんの治療法としては、手術以外に、放射線治療と抗がん剤治療を一緒に行なう場合があります。

しかし、放射線治療と抗がん剤治療を一緒に行う場合は強い副作用もあるため、十分に体力がなければ放射線治療だけの方がいいこともあります。

  • 放射線治療

放射線治療を食道がんの手術をする前に行なう場合があります。

完全に食道がんを治すことを目指す場合は、抗がん剤治療と一緒に放射線治療を行ないます。

これ以外にも、放射線治療を行って、食道がんの症状を緩和する場合もあります。

  • がん遺伝子医療

食道がんの場合は、上下にがんが拡大しやすく、腸や胃のように外側の膜がないため、治療する際に厄介です。

このような食道がんに対して、がん遺伝子医療は大きな効果が期待できます。

点滴によって遺伝子を全身に巡らすとともに、がん抑制遺伝子を内視鏡を使用して病巣に打ち込むことによって、リンパ流にそこ・免疫から吸収され、食道がんの細胞を無くすことが期待されます。

  • 免疫細胞治療法

食道がんに対しても免疫細胞療法は有効です。

放射線治療が困難な食道、腎臓、腹膜などにがんが転移したような末期がんの場合でも、免疫細胞治療法が有効であったケースがあります。

がん遺伝子医療と同じように、免疫細胞治療法は、抗がん剤治療や放射線治療とのシナジー効果が期待できます。

食道がんの予防

食道がんを予防するためは、はっきり言うと禁煙することと節酒することです。

適量なお酒の場合は、心と体がリラックスすることもはっきりしているため、体が悪くなっていなければ「一切飲酒すべきでない」とはなりません。

しかし、適量をついついオーバーして飲酒する人が多いので、自己管理を厳しくすることが必要です。

飲酒量の適正なものは、一般的に、ビールの場合は1日あたり1本の中瓶、ワインの場合は1本の4分の1、日本酒の場合は1合程度です。

しかし、酵素としてアルコールを代謝するものが多くない人の場合は、もっと少なくする方がいいと言われています。

その上で、飲酒しない日を週に2日は作りましょう。

一方、たばこについては、すぐにでも禁煙する方がいいでしょう。

特に、喫煙指数という「1日あたりに喫煙する本数と喫煙している年数を掛けたもの」で示されるものが400以上になる場合は、食道がんだけでなくがんになるリスクが高くなると言われているため、すぐに禁煙しましょう。

記事監修
  • 名倉 義人
    救急科専門医

    ・平成21年 名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事 ・平成23年 東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得 ・平成27年 東戸塚記念病院で整形外科として勤務 ・令和元年 新宿ホームクリニック開院

    日本救急医学会、日本整形外科学会

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