肺結核の特徴・症状と治療法について【医師監修】救急病院一覧あり
こんにちは、ファストドクターです。
肺結核についてお伝えします。
肺結核の特徴・症状
肺結核の特徴
肺結核というのは、体の中に結核菌が侵入することによって起きる感染症です。
感染している人の体の中でだけ結核菌は増殖します。
結核としては、肺外結核という肺以外のものもありますが、主として炎症が肺の内部で起きるものです。
肺は炎症が進んでくると壊されて、呼吸することが難しくなって死亡する場合もあります。
一方、肺外結核というのは、結核菌が体の中に侵入して臓器の肺以外のところで増えるものです。
肺以外の臓器としては、脳、気管支、リンパ節、腎臓、骨などがあり、日本においては結核に感染している人の約7%が該当します。
結核性髄膜炎という脳にできるものが、リスクが最もあり、3分の1が亡くなります。
感染している人がくしゃみや咳をする際の飛沫に、結核菌は含まれています。
空気中をこの飛沫が漂っており、この空気を吸うと感染する病気が肺結核です。
そのため、感染している人と日常的に接する家族や友達が感染する場合が多くあります。
なお、結核菌は、空気中で紫外線に長時間あたれば殺されます。
肺結核の症状
かぜの症状に、肺結核の初期の症状は似ています。
肺結核の初期の症状は、インフルエンザや肺炎など、別の呼吸器の病気と異なって軽いため、自分ではなかなか分からないことがあります。
2週間以上風邪ではないかというような症状が継続する際は、肺結核の可能性があります。
肺結核の症状としては、
・長期間咳が継続する
・痰が出る
・微熱が継続する
・体が重い
などが挙げられます。
肺結核はそのままにしておけば、病状が進んで、喀血したり、血痰が出たりして、呼吸が難しくなることもあります。
ゆっくりと肺結核は進むので、症状が深刻になって診てもらった際は、重症にすでになっている場合も多くあります。
そのため、早く見つけて早く治療することが大切になるため、医師に早目に診てもらいましょう。
肺結核の診断と検査
感染している場合と発症している場合で、肺結核の検査は違ってきます。
感染しているかどうかを調査する方法としては、インターフェロンガンマ遊離試験とツベルクリン反応検査があります。
ツベルクリン反応検査というのは、皮膚にツベルクリン液という結核菌の成分を注入して、判定を48時間後に行うものです。
結核菌に感染している場合やBCG接種の経験がある場合は、反応して赤く皮膚が腫れます。
BCG接種というのは、免疫力を結核に対してつけるために、毒性の弱い結核菌を注射するワクチン接種です。
結核が発症するリスクが、ワクチン接種によって5分の1になり、効果が10年~15年間続きます。
しかし、ツベルクリンの反応がBCG接種によるものか、結核に感染していることによるものか、見極めが難しいので、インターフェロンガンマ遊離試験という結核の感染が血液検査で調査できるものが近年では多くなっています。
発症しているかどうかの見極めは、結核菌検査と胸部X線検査で行われます。
X線検査の場合は、暗い影がないか調査します。
肺結核の疑いがある場合は、精密検査のCT検査などを行います。
結核菌を検査する方法としては、塗抹検査、遺伝子検査、培養検査などがあり、感染している人の痰を採って菌がいるかどうかを調査します。
結核菌の場合は、増えるのが遅いので、結果が分かるまでに数週間かかることもあります。
肺結核の治療法
一般的に、肺結核は、抗結核薬による治療が6ヶ月~9ヶ月間必要です。
抗結核薬としては、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピシン、ストレプトマイシン、エタンブトールの中からいくつかを組み合わせて使用します。
4剤併用療法の場合は、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピシン、エタンブトールあるいはストレプトマイシンを使用します。
3剤併用療法の場合は、リファンピシン、イソニアジド、エタンブトールあるいはストレプトマイシンを使用します。
また、結核の発症率をBCG接種によって少なくすることができます。
肺結核の治療薬としては、アミノグリコシド系抗菌薬があります。
アミノグリコシド系抗菌薬は、抗菌作用があり、タンパク質を細菌が合成するのを阻害します。
細菌が繫殖したり生命を保ったりするためには、タンパク質を合成することが必要になります。
リボソームという器官でタンパク質は合成されます。
この薬剤は、リボソームにおいて細菌がタンパク質を合成することを阻害します。
肺結核の予防
肺結核を予防するために、BCG接種などが子供の場合は行われています。
また、集団感染の場合は、予防的に抗結核薬が処方されることが必要に応じてあります。
肺結核の予防のためには、免疫力をアップすることが必要です。
いい栄養バランスの食事、適度な運動、規則正しい生活などに注意しましょう。
また、ストレスを過剰に溜めたり、疲れを溜めたりすることも、抵抗力が下がるため、適度なリフレッシュや休みも必要です。
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