細菌性髄膜炎の特徴・症状と治療法について【医師監修】

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/02/05
このページでは、細菌性髄膜炎の症状や治療法、今すぐ医師に相談したい場合の方法についてお伝えしています。

細菌性髄膜炎について

細菌性髄膜炎の特徴・要因・症状

細菌性髄膜炎の特徴

細菌性髄膜炎は、次のような特徴があります。

  • 風邪に最初の症状が似ているため、判断が自分ではしにくい

細菌性髄膜炎の場合は、初めの症状は発熱、吐き気、頭痛など軽いため判断が自分でしにくく、風邪ではないかと簡単に思いがちです。

そのため、治療を病気の早い時期に受けるのが困難であると言われています。

  • 症状は早く進み、生命に関わるような状態にわずか1日~2日でなる

細菌性髄膜炎を治療しなければ半数が亡くなると、世界保健機関は報告しています。

治療を適切に受けても、発症した後に5%〜10%の患者が24時間〜48時間以内に亡くなります。

細菌性髄膜炎の細菌はそのままにしておけば体中に髄液や血液の流れにのって回り、どんどん症状が悪くなっていきます。

別の細菌と比較して毒素を100倍〜1000倍も出すので症状が早く進んで、風邪ではないかと感じてから意識がわずか1日~2日以内に亡くなったり、そのままショック状態になって亡くなる場合もあります。

  • 高い確率で後遺症が残る

細菌性髄膜炎の場合は、早く分かって治療を適切に受けて治っても、11%〜19%の比率で耳が聞こえにくくなったり、手足を壊疽によって切断したり、知能障害や言語障害などの後遺症が残ったりします。

細菌性髄膜炎の要因

細菌性髄膜炎は、よく乳幼児に起きますが、原因菌が年齢によって違います。

生まれてから3ヶ月未満の場合は、B群連鎖球菌、大腸菌、3ヶ月以上の場合はインフルエンザ菌がそれぞれ多く、成人の場合は髄膜炎菌、肺炎球菌が多いとされています。

副鼻腔炎、中耳炎などからの侵入、菌血症による血行性、肺、心臓などからの血行性、脳外科手術をした後の院内感染などが、感染する経路としては挙げられます。

細菌性髄膜炎の主な症状

細菌性髄膜炎が発症した初めの時期は、症状が風邪によく似ているので診断することが困難であり、適切な治療を早く受けるのが難しくなります。

健康な人の喉や鼻の奥にも、細菌性髄膜炎の細菌がいる場合もあります。

しかし、疾患として免疫系のものなどがあったり、体力が下がったりしていると、細菌が髄液や血液に入って、敗血症や菌血症、髄膜炎になる場合があります。

発症してから12時間以内の症状としては、風邪のような頭痛、発熱、吐き気などのようなものです。

発症してから13時間〜20時間頃の症状は、発疹や皮下出血が現れたり、苦しい息になったり、異常に光をまぶしく感じたりするなど、いつもとは異なったものが起き始めます。

そのままにしておけば、けいれんが起きたり、意識が無くなったりして、生命に関わるような状況になる場合もあります。

細菌性髄膜炎の診断と検査

細菌性髄膜炎の主な検査は、血液検査、脳脊髄液検査、MRI検査やCT検査などがあります。

脳脊髄液検査は、最も細菌性髄膜炎の検査として効果が期待できます。

脳脊髄液検査は、髄液を脊椎より採って、成分としてタンパク、糖などというようなものを分析して、細菌として感染したものを特定します。

しかし、脳脊髄液検査は、出血傾向、呼吸不全などの症状があると、細菌性髄膜炎が悪くなるリスクがあるため困難とされています。

脳髄液検査が困難な場合は、血液検査が行われます。

細菌性髄膜炎は、多くの場合、細菌が血液に含まれているため、炎症でアップするタンパク質が上がっていないかなども考慮して血液検査を行います。

最後に、造影剤を使った検査を、MRI検査やCT検査などの画像診断として行います。

この造影剤を使ったMRI検査によって、細菌性髄膜炎が発症しているかが分かります。

細菌性髄膜炎の治療法

細菌性髄膜炎に感染した場合は、症状が高い確率で重くなると言われています。

そのため、感染している細菌を早い時期に診断を受けて特定して、治療を早く行うことが最も効果が期待できるとされており、後遺症が軽くなるとされています。

投薬治療が、細菌性髄膜炎を治療する主な方法としてはあります。

投薬治療の場合は、ステロイド薬、抗菌薬を使います。

細菌性髄膜炎の要因である細菌を特定して、効果が最も期待できる抗生物質の抗菌薬を6時間おきに経口摂取あるいは点滴します。

最近は、細菌として抗菌薬が効かないものも多くなっており、治療が難しくなる場合も多くあるので、発症するリスクそのものを予防接種を受けて少なくしておくことが必要です。

細菌性髄膜炎の予防

主な細菌性髄膜炎の原因菌としては、肺炎球菌とインフルエンザ菌が多く、ワクチン接種をそれぞれ行うことによって予防することができるとされています。

小さい子供の細菌性髄膜炎の場合は、特に重篤になることが多くあり、後遺症が重くなるとされているのでワクチン接種がおすすめです。

小さい子供用の細菌性髄膜炎を予防するワクチンは、接種が生まれた後2ヶ月からできるため、2種のワクチンが同時に接種できます。

記事監修
  • 名倉 義人
    救急科専門医

    ・平成21年 名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事 ・平成23年 東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得 ・平成27年 東戸塚記念病院で整形外科として勤務 ・令和元年 新宿ホームクリニック開院

    日本救急医学会、日本整形外科学会

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