前立腺肥大症の特徴・症状と治療法について【医師監修】

公開日: 2024/02/05 更新日: 2024/02/05
このページでは、前立腺肥大症の症状や治療法、今すぐ医師に相談したい場合の方法についてお伝えしています。

前立腺肥大症について

前立腺肥大症の特徴・要因・症状

前立腺肥大症の特徴

前立腺肥大症というのは、年をとってくるにつれて前立腺が肥大することによって、膀胱や尿道が圧迫され、排尿する際に障害がいろいろ現れるものです。

前立腺肥大症は、現在、患者数が多くなっており、男性の場合は50歳以上で2割以上の人がなっているそうです。

前立腺肥大症の要因

現在、前立腺肥大症の要因ははっきりとは分かっていません。

しかし、男性ホルモンの分泌が年をとってくるにつれて少なくなるので、女性ホルモンと男性ホルモンがアンバランスになることが要因の主なものと考えられています。

前立腺肥大症の症状

前立腺肥大症の主な症状としては、次のような排尿障害が現れます。

  • よく排尿したくなる頻尿
  • 夜に何回も排尿する夜間頻尿
  • 排尿するのに時間がかかる排尿遅延
  • 排尿が終わってまだ残った感じがする残尿感
  • 細い尿腺で勢いが無い尿勢の低下

前立腺肥大症の診断と検査

排尿トラブルがよくあるので医療機関を訪問した場合は、日常生活にその障害が影響するかどうかを問診で調査します。

問診する際は、「国際前立腺症状スコア(IPSS)」という、1995年に世界保健機構(WHO)が決めたものがよく使用されます。

国際前立腺症状スコアは、自覚症状をスコア化することによって、病状を客観的に掴むことができるものです。

国際前立腺症状スコアは、直近の1ヶ月間に5回以上次のようなことがあったかという内容です。

  • 排尿した後に、尿がまだ残った感じがあったか?
  • 排尿した後2時間のうちに、再度排尿したくなったことがあったか?
  • 排尿している間に何回も尿がとぎれる場合があったか?
  • 排尿するのを我慢するのが困難な場合があったか?
  • 尿が出る勢いが強くない場合があったか?
  • 排尿し始めるために、力をお腹に入れる場合があったか?
  • 寝てから朝起きるまでに、排尿するために何回起きたか?

また、前立腺肥大症の検査としては次のようなものも実施します。

  • 直腸診

指を肛門より入れて、前立腺の硬さ、大きさ、表面の状態などを触診します。

  • 尿検査

前立腺以外に、腎機能、膀胱炎、糖尿病、がんなどを調査します。

  • 超音波検査

モ二夕-上に臓器を映して見るもので、負担が身体に対して少なく、前立腺の大きさ、形、残尿量が分かります。

  • 血液検査

前立腺肥大症の状態、腎機能、前立腺腫瘍の有無などを掴むことができます。

  • 尿流量測定

尿をセンサー付きの装置に出して、排尿量や排尿にかかる時間などを測るもので、尿の勢いなどが把握できます。

前立腺肥大症の治療法

前立腺肥大症を治療する際は、軽い症状の場合は薬物療法をまず行います。
軽い症状ほど薬の効果は期待できますが、そのままにして悪くなると手術が必要になることも多くあります。 

薬物療法の場合は、α1受容体遮断薬、抗男性ホルモン薬、漢方薬が使われます。

  • α1受容体遮断薬

α1受容体というのは、蓄尿を調節する器官で、尿道や前立腺の筋肉にあります。

緊張している尿道や前立腺の筋肉を、自律神経が命令してリラックスさせる作用があるので、いろいろな排尿障害の症状が良くなります。

小さく前立腺がなるということではありませんが、症状が軽い場合は早期に良くなることが期待できます。

  • 抗男性ホルモン薬

抗男性ホルモン薬は、前立腺肥大が起きる男性ホルモンの働きを抑制することによって、前立腺の細胞が増えるのを抑えて、肥大させないようにするものです。

使い始めた後、数ヶ月効果が出てくるまでにかかります。また、服用を止めると再度肥大化してきます。

  • 漢方薬

漢方薬としては、効果が排尿障害に期待できるものがいくつかありますが、処方される薬は患者の体質によって違ってきます。

薬物療法で効果が無い場合は、手術療法が行われます。手術療法の場合は、内視鏡手術、開腹手術、レーザー治療が使われます。

  • 内視鏡手術

内視鏡を入れて、レーザーや電気メスで肥大した前立腺を切除します。1時間くらいで手術は終わりますが、3日~7日間程度入院する必要があります。

  • 開腹手術

相当前立腺が肥大していると、開腹手術によって全ての前立腺を摘出する場合があります。入院が2週間以上必要になります。

  • レーザー治療

レーザー光線を尿道から入れた内視鏡の先から照射して、肥大した前立腺の組織を壊死・凝固させるものです。入院は1週間以内で、負担が身体に対して少なくなります。

前立腺肥大症の予防

刺激を前立腺、尿道、膀胱へ繰り返していれば、よく症状が現れるようになります。

寒いところに長時間いる、身体を水泳などで冷やす、椅子に座ったままである、などというのは、前立腺肥大症に対してあまり良くありません。

また、大量のアルコールや水を短時間に摂ることなどは止めましょう。前立腺肥大症は、運動や食生活などが関係することが考えられます。

前立腺肥大症を予防するために、ぜひ生活を改善しましょう。

記事監修
  • 名倉 義人
    救急科専門医

    ・平成21年 名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事 ・平成23年 東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間勤務し専門医を取得 ・平成27年 東戸塚記念病院で整形外科として勤務 ・令和元年 新宿ホームクリニック開院

    日本救急医学会、日本整形外科学会

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